【交通事故】神戸地裁平成29年1月27日判決(自保ジャーナル1996号151頁)

本件事故当時満61歳の土木作業員の死亡逸失利益の算定につき、基礎収入額を、直近の給与支給額に基づいて算定した事例


【事案の概要】

  以下の交通事故が発生した。
  日時 平成27年2月20 日午前1時35分頃
  場所 岡山県都窪群国道上(以下「本件事故現場」という。)
  被告車 被告乙山運転の事業用大型貨物自動車
  亡太郎(注)
  事故態様 被告乙山は、本件事故前の時点で過労状態であったにもかかわらず、直ちに運転を中止せず、運転を継続したところ、国道a号線の第3車線上において、時速70㎞ないし73㎞で走行中に仮眠状態に陥り、同車線上で工事作業中の普通貨物自動車後部に衝突させて同車を前方に押し出し、同車右前方の中央分離帯付近で作業中の亡太郎を下敷きにした。

注)亡太郎は、本件事故当時満61歳の土木作業員であった。原告花子及び原告春子は亡太郎の姉であり、原告一郎は亡太郎の弟、原告夏子は亡太郎の妹であり、原告らは、亡太郎の兄弟姉妹として、亡太郎を相続(相続分各4分の1)した。


【争点】 
 原告らの損害
(原告らの主張)
・死亡逸失利益 2449万2334円
   421万2300円(全額歴年齢別平均賃金)×(1ー生活費控除率0.3)×8.3064(平均余命の2分の1の約11年のライプニッツ係数)
・死亡慰謝料 3900万円
・近親者固有慰謝料 650万円(原告一郎は260万円、その余の原告は各130万円)
(被告の主張) 略


【裁判所の判断】

 原告らの損害
・死亡逸失利益 1749万3278円
 基礎収入は、平成27年1月の給与支給額29万2500円(労働日数22.5日)に基づき、年収額(12ヶ月分の,351万円)を算定した(注1)。
 また、生活費控除率は、亡太郎が一家の支柱に準ずる者、原告一郎が被扶養者に準ずる者(注2)として、40%、中間利息控除は、原告主張のとおりに、認定した。
・死亡慰謝料 3000万円
 事故態様、刑事裁判の対応等から、慰謝料増額事由を認定した。
・近親者固有慰謝料  300万円
 原告一郎は120万円、その余の原告は各60万円

注1)将来的に亡太郎が平成26年度男性全学歴60歳から64歳平均賃金421万2300円程度の収入を得られる蓋然性を認めることはできない。他方、亡太郎の平成26年11月14日(注:勤務開始日)以降の訴外会社における勤務はわずかしかないことから、(被告らの主張するように)同日以降の現実の収入から年収237万3016円が算定されるにすぎないともいえないと、判示した。

注2)原告一郎は、満45歳の時に糖尿病との診断を受け、糖尿病性足潰痬による右第1趾の切断後,軽作業が可能である状態であり、糖尿病網膜症及び末梢神経障害があったところ、平成21年から平成24年までの間、課税上の亡太郎の収入により生計を維持されていた者として、訴外会社に届けられていた。

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